歯の知識ABC
1)虫歯(齲蝕)
 歯は炭酸ジュースで簡単に溶ける

 食後に歯磨きもせずに、放ったらかして寝てしまう。これは虫歯にとっては喜ばしいかきりですが、人間には最悪の事態です。食後そのままですと、歯に食物のかすがつきます。

 口内にはものすごい数の細菌がいます。細菌も生きているからには栄養をとらなければ死んでしまいます。食べかすは細菌にとって栄養物で、細菌が歯面に棲みついたままそこで繁殖します。そのとき、細菌は食べかすの中の栄養分である糖質を分解して酸を出します。この酸が歯のエナメル質を溶かすわけです。虫歯とはエナメル質が溶けてなくなった状態のことなのです。

 私たちのエナメル質というのは、そのまま何もなければ400年はもちます。それほど丈夫にできているのですが、それでも使い方やメインテナンスが悪ければ、どんなに丈夫なものでもダメになるように、歯もメインテナンスが肝心です。

 たとえば、歯を清涼飲料水に4日も浸けておくと簡単に溶け出してしまいます。炭酸ジュースなどはPH4.0〜2.7という酸性ですから、PH5.5を境に溶け出すエナメル質にとっては大敵です(中性とはPH7.0)。もちろんお菓子などの甘い食品はPH4.8くらいですから、私たちの生きる環境は歯にとって四面楚歌という状況でしょう。

 ただ、唾液という強い味方があるために、時間さえかければ口内は中性に戻ることがかろうじてできているわけです。

虫歯の進行
 虫歯の相関関係を示す「カイスの輪」

虫歯に関しては、カイスという研究者が虫歯にかかる因子を3つ(A, B, C)あげました。

カイスの輪
カイスの輪

A.歯牙
歯がなければ虫歯ができません。

B.細菌
口の中には数多くの細菌が棲んでいますが、これが原因の一要素だとしています。

C.食物
つまり細菌を養う栄養、特に糖分があること。

D.時間
細菌が増えるために糖分(栄養)を分解してエネルギーを得るのには一定の時間が必要である。

 この3つの輪は「カイスの輪」として有名で、最近ではこの3つに時間(D)という因子を含めたカイスの輪が一般的になってきています。

 「朝、昼、晩の食後のあとにきちんと歯を磨きましょう」といわれてきましたが、現在では、じつは1日1回でもいいから、完全」に徹底して磨くことが虫歯対策には有効であることがわかってきました。というのも、プラークは歯磨きなどで一度完全に除去しますと、再び増殖するまでには24時間という時間が必要なことがわかってきたからです。

 普通「歯垢」と呼ばれる歯面に付着した白いものを、私たち歯科医は「プラーク」といっていますが、これは細菌の塊です。このプラークという言葉は壁にくっついている飾り板の意味で、まさしく歯の表面にベッタリとくっついている、ばい菌のことです。

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虫歯菌のひとつと考えられている
ミュータンス菌(MutansStreptococci)
(顕微鏡写真)



 わずか1ミリグラムの中に2億匹もの微生物が存在しています。専門的になりますが、虫歯の原因菌は連鎖球菌や乳酸桿菌、放線菌など。具体的には連鎖球菌中のストレプトコッカス・ミュータンス(ミュータンス菌)、ストレプトコッカス・サリバリュース、ストレプトコッカス・サンギュース、ストレプトコッカス・ミリスなどが知られています。乳酸桿菌のラクトバチラス、放線菌のアクチノマイセス・ビスコーサスも虫歯を引き起こします。

 プラークさえなければ、口内に食物がどれだけ残っていようと虫歯や歯周病の原因にはならないのです。歯磨きのポイントは、このプラークを完全に除去するところにありますから、何度も同じところばかり磨く、いい加減に磨くという調子では1日3回のブラッシングも意味がありません。


 虫歯は決して自然治癒しない

 虫歯の困った点は、風邪や腹痛と違って、自然治癒能力が働いていつのまにか治ってしまったということは期待できないということです。

 また、虫歯は最初に無機質(エナメル質)が破壊されるため痛みがありません。そのために油断しがちです。痛みだすころには歯髄にまで及んでいることが多いのです。

 虫歯菌は酵素を出して砂糖をブドウ糖と果糖に分解し、果糖から酸をつくります。この酸が歯を溶かします。いちばん外側のエナメル質を虫歯菌が溶かすことを脱灰(だっかい)といいます。そのときには歯の表面が白く濁ってきます。次はエナメル質より軟らかい象牙質が侵されると破壊は急速に進みます。冷たい水が歯にしみ始めます。

 さらに浸食されると歯髄に達しますが、こうなると歯髄には血管や神経が通っていますから痛みで寝ていられなくなります。もっと進むと歯根膜炎、顎骨骨膜炎、顎骨骨髄炎など、全身に影響する病気を誘発したり、虫歯を放ったらかしておきますと、歯根の炎症部分からばい菌が血液に入り込んで心臓、腎臓、肺などの病気を引き起こすことも少なくありません。

2)歯周病
 骨が溶け出す病気「歯周病」

 虫歯が細菌とエナメル質の戦争であれば、歯周炎は細菌と歯周組織との闘いです。これにはプラークの中にいるアクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス菌やPG(ポルヒノモラス・ジンジバリス菌)のような十数種類の細菌が関係しています。

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歯周病菌のひとつと考えられているアクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス菌
(Actinobacilus Actinomycetemcomitance)
(顕微鏡写真)

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同じくポルヒノモラス・ジンジバリス菌
(Porphyromoras Gingibalis)
(顕微鏡写真 1000倍)


イエテボリ大学歯学部口腔細菌学 グンナー・ダレーン教授(Prof.G.Dahlen)提供

 健康な状態では歯と歯肉のすき間はほとんどありません。しかし歯肉に炎症が起こると、このすき間がどんどん広がって深くなっていきます。

 プラークがたまりやすい歯と歯茎間の歯肉はいつも危険にさらされ、炎症を起こしやすい状態になっています。細菌が増えれば、私たちの身体は異物を退治しようと白血球が集まってきます。こうして細菌と白血球が闘っている現象が歯茎の炎症で、闘いの戦死者が膿となるのです。

 細菌が勝てば歯肉炎になります。歯肉炎を起こす原因になったプラークは、しだいに歯根の表面にそって侵入し、歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝のこと)をつくります。一方、骨は細菌に感染すると身体全体の病気になりますから、細菌から逃げるために骨が溶けたように見えるのが歯周病です。

 歯周病は大きく分けて歯肉炎と歯周炎に分類できますが、炎症が歯肉部に関してだけ見られるものを歯肉炎、そして、ここだけにとどまらず歯槽骨まで破壊されているものを歯周炎と呼んでいます。忘れてはならないことは、この分類は炎症範囲を示すものであって、この炎症がどれだけひどいかという程度は無関係なのです。歯周病はかつて歯槽膿漏といわれていました。ほとんどの歯周病は、痛みの自覚症状もないままに深く潜行して進みますから、厄介このうえない病気です。歯周病(歯肉炎・歯周炎)の症状は次のとおりです。

歯肉炎・歯周組織炎(歯槽膿漏)

口腔

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A.赤く腫れる
歯茎が炎症を起こした状態です。

B.出血する
一見すると悪くないように見える歯肉も、歯科医師が歯肉の状態を検査するために、プローブ(針状の器具)を入れて探ってみると血が出てきます。歯周病の症状には、いくつかの特徴があり、症状としては次の3つが主なものです。

A.膿が出る
歯周ポケット(歯槽)から膿が出てきます(膿漏)。

B.口臭がある
人によっては、におわないこともありますが、におわないから歯周病ではないと安心はできません。

C.歯がグラグラと動く
歯槽骨が溶けてくると、歯を支える力が弱くなって歯がグラグラしてきます。

D.歯茎(歯肉)が下がる

 歯周病は歯の磨きにくいところに発生する傾向があります。すべての歯で同程度に起こることはほとんどありません。ところで、デンマーク人のホラルド・ロー博士は歯周病の権威ですが、彼は12人の患者(歯科医のたまご)に歯を懸命に磨かせ、あるとき磨くのをやめさせるという実験をしたことがあります。歯肉の炎症比を確認しますと、よく磨いていたときには細菌が見当たらなかったにもかかわらず、歯磨きをストップさせると、とたんに細菌が増え、同時に炎症がどんどん発生してきたのです。そこで歯磨きを再開して細菌をとると、また歯肉炎も治まってきました。そこで初めて、歯周病も歯についた細菌が原因だとわかったのです。何と1965年のことです。ところが、この実験では楊枝で歯肉マッサージもしました。それは細菌を歯と歯の間からとるのが目的だったのですが、データを読み間違えてマッサージによって歯周炎が治ると錯覚してしまったのです。

 このために、当時はマッサージ用のゴム楊枝付きの歯ブラシがたいへん売れたそうです。もちろん、歯ブラシの役目は歯面についた細菌の除去にあります。マッサージが歯周病治療に役立つことなどありません。

 でたらめなデータに振り回されるな

 統計的に見ますと、歯周病は日本では60歳で80%以上の人が罹患していると報告されています。そのために、1955年から「歯周病は年とともに悪くなって骨がなくなていく病気だ」といわれてきました。いまだにそれを信じている歯科医が日本には少なくないのですが、これは患者のデータ処理を表面的に行ったためのミステイクです。

 実際には年をとっても歯周病にならない人がたくさんいるのです。1964年に、シャープ博士はNIH(アメリカの厚生省にあたる組織)に頼まれてデータをまとめました。それは2,371名の市民とエクアドル、アメリカのインディアンのデータを調べたのですが、細菌の量と口内の症状をデータをとって平均値をとると、加齢とともに細菌がどんどん増えていくことが判明したのです。しかし、データをあくまでも大雑把に平均値でとったために、35、40歳になると必ず歯周病にかかるのだという結論を導いてしまったわけです。

 いままでは歯肉炎は必ず歯周病に発展し、しかも奥歯はどんどん悪くなっていくと考えられていました。しかし、加齢に応じて歯周病が悪くなるということは誤解です。細菌がなければ歯周病は進みませんし、歯肉炎のまま歯周炎にならないケースも少なくありません。しかも、ある特定の人、つまりリスクの高い人が悪くなっていくということがスウェーデンでは常識となっています。

 歯肉がきれいになっても歯周病は治っていないことがある

 私の医院に41歳の歯周病患者がいます。彼は、いろいろな歯科医を訪れたそうですが、治療をしてもらえませんでした。レントゲンを見ると、骨がほとんどありません。歯周組織も失われています。歯茎の下に感染が及んで、細菌が石灰化しています。合成樹脂でとめている歯は接着剤でついているだけです。これだけひどい状態でも、口臭がきついこと、歯が動くことを除けば表面的には自覚症状はありませんでした。

 私はこの患者を引き受けました。その代わりにヘビースモーカーである彼に禁煙を命じ、また1週間徹底的に歯を磨いてもらったのです。そうすると、歯茎がきれいになってきました。その患者はもう治ったと大喜びでした。

 ※この患者さんの体験談は「我が歯周病治療記」にまとめられてますので、是非ご覧ください。

 ここで注意すべきことは、歯ブラシによってマッサージされた歯茎は肩こりが治るのと同じで、一見、歯茎が引きしまって健康になったように感じるのです。歯科医も患者もこれで治ったと錯覚しがちです。なかには歯周病は歯ブラシで治ると主張する歯科医さえいますが、歯周病は歯茎だけの病気ではありません。歯を維持している組織の病気です。歯肉の奥深い部分のプラークは歯ブラシだけではとれません。ですから、私は手術をしたのです。やはり、レントゲンで見たとおり、歯石がべったりとついていました。歯肉がきれいになったので歯周病が治ったと錯覚していたのです。

 スウェーデンの画期的な医療政策

 歯周病をめぐっては、歯科医療の先進国のスウェーデンでも次のような画期的な出来事がありました。

 1982年、ヒューゴソン博士が600名を対象に20〜70歳までを10年ごとにグルーピングして、それぞれ100名の歯周病の重症度を調査したのです。しかもグループ1というヘルシーグループから最悪のグループ5までに患者を分類したところがミソでした。グループで見ていくと、全体の8%の人だけが悪い歯周病に罹患していたことがわかりました。この8%の患者をどうケアすべきかを考えることが大切なのです。

 それを1982年に主張すると、スウェーデンではすぐに国の保険制度に入れられ、歯科治療プログラムがつくられました。そんなに悪くならないと考えられるリスクの低い92%の人たち向けに「べーシックプログラム」(基本治療計画)が開発され、リスクの高い(つまりそれだけ医療費がかかるということ)8%の人には「サブリメンタルプログラム」(補足治療計画)で特別治療を歯周病専門医がすることになったのです。

3)虫歯と歯周病の予防
 虫歯には個人差がある

 虫歯はミュータンス菌などの細菌が原因で起きますが、個人差があって、歯磨きをそれほどしなくても虫歯にかからない人もいれば、熱心にやってはいるけれども、どうしても歯医者通いが続くというリスクの高い人がいます。これは同じ人間でも風邪をひきやすい人もいれば、風邪を一度もひいたことがないという人がいることと同じです。

 しかし個人差はあっても、口内細菌を放置しておけば、いつかは虫歯や歯周病に感染してしまうことになります。ですから、平素から虫歯にならない食生活を各家庭で推進することが大切です。たしかに歯磨きは大切で虫歯予防の基本ですが、歯磨き以外にも、そもそも虫歯になりにくい食生活を送ることを考えてもいいでしょう。

 たとえば、虫歯になる要因の一つである糖分の摂取回数を控えることなどは、意識すればずいぶんとできそうです。甘い食物を飲んだり食べたりしないだけではなく、代用甘味料を使ってはどうでしょうか。現在、「砂糖不使用」と書かれたガムやチョコレートを見ることが多くなりました。実際、砂糖以外の代用甘味料はかなり食品に使われるようになってきました。ソルビトールやサッカリンなどがこれまで一般的でしたが、真打は何といってもキシリトールです。フィンランドで開発された人工甘味料で、最近、日本でも認可されました。キシリトールには次のような効果があります。

A. 唾液の分泌を促進することによってプラークが歯に付着しにくくする。
B. 歯の表面の再石炭化(プラークによって溶けかけてきた部分を再度硬くする)。
C. ミュータンス菌の数が増えることを防ぐ。

 これらの効果によって、キシリトールは代用甘味料という目的よりも積極的な予防作用を期待されています。子供のおやつなどには、代用甘味料(できればキシリトール)を使った食品を意識して与えたいものです。

 歯磨き剤はフッ素入りがいちばん

 薬局やコンビニに行くと数多くの歯磨き剤が販売されていますが、いったい、どれが効くのでしょうか。商品が多すぎて歯科医も迷ってしまうほどです。
一般に歯磨き剤には次の成分が含まれています。

歯磨き粉
歯磨き剤
A.薬効剤(虫歯予防など薬用成分)
B.研磨剤(歯の表面の汚れを落とす)
C.湿潤剤(適度の湿り気を与える)
D.発砲剤(口中に歯磨き剤を拡散させる)
E.粘水剤(粉体と液体成分との分離を防ぐ)
F.香味剤(爽快感を与え口中をさっぱりさせる)
G.着色剤(歯磨き剤に色をつける)

 日本の歯磨き粉の主要成分は研磨剤で、「薬用」表示をしているものでも、ほとんど同量の研磨剤が入っています。この研磨剤は絶えず歯の表面を削りとってしまい、結果として歯を磨耗させてしまうことになります。自動車のしつこい水あかとりに研磨剤入りのコンパウンドを使うことがありますが、それと同じでブラッシングすればするほど歯の表面が削りとられていくのです。また歯を磨くと白い泡がたくさん出てきて、さもよく磨けたと勘違いしがちですが、これは大きな錯覚です。泡立ちのいい石鹸が必ずしも汚れを落としていないことと同様、本来のプラークがとれているかどうかは疑問です。歯磨き剤に関しては、研磨剤が入っていようとなかろうと、プラークの除去には無関係であることが実験の結果わかっています。研磨剤に細菌をとる役目はありません。歯磨き剤の中にプラークを分解させる酵素を入れるという商品もあるようですが、まったくナンセンスな話です。歯磨き剤の中に入れて効果があるのはフッ素です。歯の表面を丈夫にしたり抗菌機能を果たしたり、フッ素こそ虫歯に対して予防効果があるのです。

 虫歯予防に関しては最も手っとり早く簡単なことは、このフッ素を活用することです。「フッ素が虫歯に効果がある」ということは、かつて、イタリアなどの国でフッ素の化合物が入った水を飲んでいた人々に虫歯がなかったという事実がわかると、一躍、フッ素は注目され、人々はフッ素と虫歯の相関関係を研究し、予防効果が科学的に証明されてきました。フッ素はエナメル質の表層が酸によって溶けるのを防ぎ、歯質を強化するという作用があります。スウェーデンでも、この結果を受けて、以前、上水道の中にフッ素を入れたり、小学校でうがいを徹底するなどして、たしかに虫歯激減に一役買いました。

 プラークがとれているか歯科医にチェックしてもらう

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歯肉炎 52才女性

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歯肉炎 染め出し後

一見すると綺麗な歯面に見える(左)が、歯科医院で染め出し液を用いると、赤くプラークが染め出される(右)。

 「毎日、歯を磨いていても、たいして効果がないんですよ」という人がいますが、その人は自分の歯磨きがはたして本当に正しくできているのかどうかを、確認してほしいと思います。

 効果がないというのはプラークがとれていないということです。プラークがとれなければ、虫歯になるのは当たり前です。もう一度、歯磨きの状況を再考する必要があります。

次のような症状がある人は、歯がうまく磨けていない人です。

A.口にネバネバするような感覚がある。
B.舌で歯のまわりをなめまわすとぬるぬる、ざらざらした感触がある。
C.口臭がある。
D.歯と歯の間に楊枝をさすとプラークがとれる。
E.歯肉が赤く腫れている。

 本来、歯磨きは難しいものではありません。プラークがとれない原因は歯磨きのやり方が悪いためです。多忙な生活をしていることはわかりますが、歯磨きがついつい雑になってしまうのです。

 ところで、うまく歯が磨けているかどうかは自分ではなかなかわかりにくいものです。いちばんいいのは歯科医に歯磨きの状態を見てもらって指導を受けることです。歯科医の仕事は虫歯を治したりするだけではありません。歯に関するあらゆる疑問や相談に対応することは当然のことですから、何の気がねなく相談してみてください。ブラッシングの仕方については昔からいろいろな研究がなされてきました。ローリング法、フォーンズ法、スクラビング法、バス法などがありますが、どれにも一長一短があります。

ローリング法、バス法

 歯周病に効果的な歯磨き

 また、いろいろな歯ブラシが出ています。効果があれば世界中同じ歯ブラシを使うでしょうが、実際は星の数ほどいろいろな種類の歯ブラシが出ていて、どうしたら、よく磨けるか、簡単に磨けるか、世界中のメーカーが多くの実験をしています。なかには1回で前歯をすべて磨けるようにつくられた歯ブラシもあります。しかし大切なことは、どこを磨くかです。電動歯ブラシも出てきました。たしかに便利な道具で不器用な人や手の不自由な人には福音の商品といえるかもしれません。

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2週間歯ブラシをしていない状態。見た目には健康そうな歯及び歯肉に見えます。

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歯肉を触ると出血が見られます。軽度の歯肉炎の状態です。


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X線像。歯肉炎ではまだ支持組織(骨)は失われていません。

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一見健康そうに見えた歯面に赤く染め出されたプラーク(歯垢)が見てとれます。これが歯周病(歯肉炎)の基となる細菌の塊です。


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ソニッケアー:音波歯ブラシ「ソニッケアー」の歯ブラシ部

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毛先を歯面に軽く当てるだけで音波の力でプラークを除去することが出来ます。


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ソニッケアー使用後2週間後の状態。歯肉の健康が取り戻されています。このように歯肉炎は歯ブラシでも治療可能です。このことは虫歯及び歯周病の予防にも繋がります。

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染め出し液を使用しても歯面にプラークはついておりません。

 歯周病は、歯肉付近の歯についたプラークの細菌が原因で起こります。プラークは細菌のたまり場で、だいたい1グラムあたり10億個の細菌が潜んでいるのですが、歯周病は完治したと思っても油断してメインテナンスを怠けていると、何度も再発してしまいます。この歯周病治療の歯磨きは虫歯の場合と少し異なります。かつて歯周病の原因がはっきりとわからない時代は、歯肉のマッサージをすることが効果的な治療方法だといわれたこともありましたが、これはまったくの誤解、錯覚で、歯周病に効果的なことは歯周ポケットの汚れをとるようにブラッシングすることがポイントです。

歯周ポケットというのは歯と歯肉の間の溝のことです、歯を磨くと、この歯肉から血が出てくる人は多いようですが、それを見て歯肉から血が出るから磨くのをやめる、あるいは磨いてもそっと磨くという人が少なくありません。しかし、これは間違いです。

 歯磨きをするから血が出るのではなく、歯磨きをしなかったから汚れがたまって歯周病が悪化して出血するのです。それを血が出るからやめておくというのでは、それこそ本末転倒です。健康な歯肉からは、普通、出血するようなことはありません。歯磨きの仕方が悪くて歯周にプラークがついていると、そのプラークによって炎症か引き起こされて出血するようになるのです。

 プラークについている細菌をとって清潔にすれば、炎症は治まりますし、出血もなくなってくるのです。ですから、血が出たり、しみたり、痛いという箇所ほど念入りに磨く必要があるのです。ところで歯ブラシは歯周ポケットに1〜2ミリしか入りません。歯間ブラシ(歯と歯の間を磨く小さなブラシ)を使えば、歯間部では歯周ポケットにもう少し深く(2〜3ミリ)入り込めます。

 フロリダ大学のマグヌソン博士の実験(1984年度)によれば、前もって歯肉の内側の細菌をとったあとに、歯をよく磨くグループ、磨かないグループと分けて、それぞれのプラーク進行変化について調査しました。結果を見ますと、4〜8週経過の段階で、ブラッシングをしなかったグループでは歯周ポケット内に細菌が再発していました。歯をよく磨いたグループでは歯周ポケット内に病原菌はほとんど見当たりませんでした。

 歯肉から出血があるということは、ポケット内に炎症があるということです。つまり、ポケットに感染があるということです。実験を始めたときは、歯周病にかかった歯周ポケットを見ていますから、100%が出血しているわけです。ところが、歯肉から細菌を除去していくと、どんどん炎症が治まり、最後は20%にまで下がっています。歯肉の細菌をとる操作をすれば、炎症は落ち着いてくるのです。逆に、これが細菌をいったんは除去しても、歯ブラシ指導をしないでいると、そういうグループは結局、元に戻ってしまいます。ところが、このグループにもう一度、細菌を除去してブラッシングすれば劇的に炎症がコントロールされます。

 つまり、歯肉のメインテナンスを患者自身ができなければ、どんなによい治療をしても効果が持続しないのです。軽度の歯肉炎なら歯ブラシで治すことも可能です。また、家庭でのプラークコントロールにはソニッケアーのような電動歯ブラシも効果的です。

■ソニッケアー
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■dinos
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